腹部エコー検査はいろいろ分かる
腹部エコー検査はお腹にゼリーをつけて、手のひらサイズのプローブと呼ばれる機械でお腹を撫でながら、超音波を利用してお腹の中の臓器をみる検査です。血液検査で肝臓の数字が悪かったり、食欲がないとか腹痛がある時に検査を行います。
当院で行うお腹のエコー検査で見るのは肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、脾臓がメインです。検査で分かる病気は脂肪肝、肝腫瘍、胆石、胆のうポリープ、膵腫瘍、腎臓結石などがあります。
超音波は体に無害ですし、検査は痛みもなく、安心して受けて頂ける検査です。
エコー検査の欠点は体型や腸のガスの状態で死角が生じることです。肝臓の端の方や、膵臓に関しては観察できないことがあり、エコーの弱点と言えます。特に膵臓に関してはエコーはやや弱いです。
同じようにお腹をみる検査にCT検査があります。CTは横になって、筒状の大きな機械の中に入って放射線で撮影していきます。健康被害はほぼ問題ないですが、一応多少の被曝はあります。CTはエコーと違って死角がないことが利点です。エコーで弱点だった肝臓、膵臓もしっかり全体を見ることができます。しかしCTはただ普通に撮影するだけだと、細かい病変が分かりづらいという欠点があります。肝臓や膵臓の腫瘍とか、胆のうポリープなどは普通のCTでは同定できないことがあります(もちろん余程大きな物なら分かりますが・・・)。このような細かい病変をCTで調べようとすると造影剤という薬を注射しながらCTをしなくてはなりません。造影CTをすることにそこまでハードルを上げる必要はありませんが、造影剤は喘息があると使いづらいとか、腎臓が悪いと使いづらいなどあり、あまり気軽にやる検査ではないです。
目的にもよりますが、造影剤を使わないでCTをするくらいなら、エコー検査の方がはるかに詳細に色々なことが分かります。なによりもエコー検査は体に負担なく、すぐにできることが最大のメリットだと思います。
私の中ではお腹の検査で有用なのは、①造影CT > ②腹部エコー ≫ ③単純CT の順番と思っています。
エコー検査でさらに精密検査が必要と思えば、造影CTやMRIを行います。
下の写真は胆のうポリープです。真ん中の矢印で指したとこがポリープで、大きさは7mmです。エコーだとこのようにはっきり見えますが、このサイズだとCTでは良く分からない可能性があります(もっともCTで分からないくらいなものなら問題ないという考えもありますが・・・)。
エコーは手軽で負担や苦痛もなくできる検査ですので、食欲低下やお腹の症状がある方のスクリーニングには積極的に行うようにしております。私は肝臓、胆のう、膵臓領域を専門に診療していた関係で大学病院でもエコー検査に長く携わってきましたので、技術的にも自信を持って検査をさせて頂いております。